『Le journal d'une femme de chambre』(ルイス・ブニュエル監督、1964年。@シネマトグラフ)
ジャンヌ・モロー特集。ブニュエルにしてはおとなしめの映画。老父の靴フェチや妻が洗面所で配合する奇妙な薬品などの細部が、いまひとつ切れ味に欠ける。毎日のように隣から壁越しにゴミを投げ入れる隣人は、エリア・シュレイマンの『Intervention divine』にアイデアを与えたのだろうか。ジャンヌ・モローが汽車を降りると駅には馬車が待ち構え、自転車や自動車、最後には港町に停泊する船と、乗り物の描写が隠れた魅力。そのラストシーンの右翼のデモのシュプレヒコールが聞きとれず。「A bas...!」とかなんとか。この作品に引き続きブニュエルはメキシコで驚異の怪作『砂漠のシモン』を生み出すことになるだろう。